名護市の天然記念物(褶曲)
2013年 09月 10日
朝早くから出かけ、遠回りになるものの一度通ってみたかった名護のオリオンビール工場から大浦に抜ける県道18号を使ってみました。
急坂を登り山の中に入るとやんばるのイタジイの深い森になり、
いろんな「動物に注意!」の標識が3種類もありましたが、
私が出会ったのは死にかけたオニヤンマで、写真を撮って草の上に寝かせてやりました。
また、じっくり、歩いてみたい道でした。
廃校になった旧嘉陽小学校の校門前には「聖火宿泊の碑」がありました。
49年前の東京オリンピックの聖火が沖縄にも着き(その当時は米軍の統治下で日本の国ではなかった!)、沖縄本島を一周した時にこの地に聖火が宿泊した記念の場所だそうです。
同じく旧底仁屋(そこにや)小学校の前には沖縄戦の戦火を逃れた立派な松も残っていました。
天仁屋海岸にはすでに立派な「国指定天然記念物 名護市 嘉陽層の褶曲」の記念碑ができており(地図の①)、
100人近い参加者が集まっていて、
その奥にも地層が観察できました。
あいさつや講師さんの紹介の後、地図の②の地点を見学しに出かけました。
この②の地点は嘉陽層の代表的な砂岩と泥岩からなる地層で、大地震などをきっかけに大土石流が発生して6000mの深い海に堆積したものだそうです(これをタービライトという)。
大きな褶曲の一部で地層の上下が逆転している、そうです。
その証拠の一つが地層に残っている生痕化石が凸になっていること。泥の上をはい回った生物の跡は凹になっているはず!凹の上にたまった泥などが凸になるから逆転の証拠!
二つ目は地層の粒の粗さをよく観察すると、上のものほど粗いことが解ります。ふつう泥や石が積もる時は、粗くて重いものが先に沈むはず(これを級化成層という)だから逆転の証拠!
また、そばにある砕屑流堆積物の中にある貨幣石の年代測定で3000~4000万年前の地層だということもわかってきたそうです。
地図の③は、地層が逆転している場所で、下にある地層が上にある地層を白線の部分で削り取っているのが解ります。
さらに④の場所は、地層の褶曲とその力についていけなかった地層が逆断層でちぎれているのが一目でわかる貴重なところでした。
⑤の場所では④のような規模の小さな褶曲と逆断層が見られました。
⑥はバン崎の先端近くの地層(泥岩と砂岩が同じくらいになってきた)のとても細かな褶曲が発達した地形です。
その素晴らしさに見惚れてしまいましたが、
反対側に回ると全体が見渡せました。
世界のアルプスやヒマラヤの大山脈も同じようにしてできたものと考えられていますが、
それが目の前でコンパクトに見ることができるという点でもこの嘉陽層の褶曲地形が天然記念物に指定される意義は大きいといえるでしょう。
足元の潮溜まりにはたくさんの貝とその卵がいっぱいでビックリ!
往復3Kmほどの距離でしたが、いい勉強をし、心地よい疲れを感じた観察会でした。
みなさんも一度訪ねてみてくださ~い。