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沖縄の不思議の世界を紹介します


by nami-5963

慰霊の塔の石材観察会

「おきなわ石の会」で糸満市の平和祈念公園にある各都道府県の慰霊の塔の石材観察会があり、「こんな観点から平和祈念公園に出向くのはとてもおもしろい!」と言うAさんといっしょに出かけました。わたしは9年前にあった同じ観察会(2010.10.2、参照)の自分のブログにも目を通して出かけました。



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朝の10時までに42名の熱心な地質ファンが集まり


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「優れものの岩石鑑定表」をもらってスタートしましたが、
熱心な会長さんが詳しい解説をし出したのは道路の両脇に装飾的に配置された白い球形の石の塊でした。



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「白い岩の中にたくさんの大きな粒の結晶ばかりが見られるので、火山由来の火成岩の中の深成岩ということになり、その鉱物に黒い黒雲母が入っていることから花崗岩(かこうがん)だ!と言うことになります。」という詳しい説明を受け、出発前のトイレ休憩となりました。



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Aさんといっしょにトイレに行くと、今説明のあった花崗岩の少し黒っぽいものが目の前にあり、



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別の壁に赤っぽいカリ長石(ちょうせき)が多く入った花崗岩もあって、いい勉強なるトイレだ!と笑ってしまいました。



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最初に訪れたのは、毎年6/23の「慰霊の日」に平和祈念式典の行われる「平和の丘」のモニュメントで、「平和の丘」と刻まれた岩は、久米島産の「畳石」と同じ安山岩(あんざんがん、アンデス山脈を作る岩)ということで、柱状節理の六角形の一部が見られました。



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白黒のドーナツ状のモニュメントは、白い部分は琉球石灰岩でとても汚れやすく、黒い部分は黒っぽい鉱物が多く含まれることから斑糲岩(はんれいがん)か橄欖岩(かんらんがん)だということでした。



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沖縄戦時の島田知事や県職員の命を犠牲にした県民を守る努力に敬意を表し、慰霊するための「島守の塔」では全員で黙とうを捧げました。

この「島守の塔」の文字を刻印した岩は、濃い緑色の細長い角閃石(かくせんせき)の結晶が目立つので、角閃石安山岩(かくせんせきあんざんがん)という説明がありました。



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青森県のリンゴのモニュメントの白い部分は琉球石灰岩で、四角い文字盤は花崗岩でした。



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岡山県は日本でも花崗岩の一大産地で有名なだけに「おかやま」の文字盤はピンク色のカリ長石の入った上質な「桜御影(さくらみかげ、みかげは兵庫県の御影市のことで、花崗岩の産地として有名なことからついた石材名)」が使用されていました。



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慰霊の塔の方の両手を合掌したような形のものはコンクリート製で、その中に納まったブロックは白御影(白い花崗岩)でした。



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みなさんとても熱心で、メモをしっかり取ったり、岩を虫眼鏡で観察したり、会長の説明をビデオで全部記録している方もおられました。



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次に訪れた千葉県名の文字を刻んだ岩は、花崗岩と同じ石英、長石、黒雲母でできているものの粒の大きさがとても大きく成長した巨晶花崗岩(きょしょうかこうがん、ペグマタイトともいう)という珍しいもので、



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大きな慰霊の塔に使われている赤い石は、



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赤いカリ長石がたくさん入った中近東産の花崗岩だということでした。



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愛媛県の慰霊碑は土台の緑色の岩が、地殻変動の圧力と熱で最初の岩とは違ったものになった変成岩で、結晶片岩(伊予の青石ともいわれる)というもので、



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「愛媛の塔」の文字を刻んだ岩は、ピンク色のカリ長石を含む花崗岩でした。



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「神奈川の塔」の文字を刻んだ岩は、安山岩で、上に乗った四角い岩が花崗岩、左の白い岩は大理石という説明でした。



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Aさんの家があった群馬県の「群馬の塔」は中央に二本立っているのが三波石(さんばいし)といわれる変成岩の結晶片岩で、その前には真っ黒な浅間山の噴火で流れ出た溶岩(浅間石と呼ばれる)があり、それらが琉球石灰岩の小山に乗っかっているようで、



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その前には地元で多胡岩(たこいわ)と呼ばれる砂岩(さがん)でできた献花台が設置されていました。



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「秋田県」の文字を刻んだ岩は、斑糲岩だそうで、



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最後に訪れた愛知県の「愛国知祖の塔」の文字を刻んだ7mもあろうかというラグビーボールを半分に切ったような白っぽい岩は粒子の細かい花崗岩で、



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マグマが上昇してくるときに周りの岩石を取り込んだ捕獲岩(ほかくがん)の部分があることもわかりました。



今回の観察会は前回の半分も回り切れていませんでしたが、各府県ともに故郷の有名な岩石を用いつつ、沖縄で手に入りやすい琉球石灰岩や全国の石材店で入手しやすい花崗岩(御影石)が多用されていることがよく分かりました。



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今回は時間的にここでいったん終了し、あと何回か継続した観察会を持つということで、質疑応答の時間がありました。



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私の方から、「平和の丘」の白黒のドーナツ状のモニュメントの黒い部分は斑糲岩か橄欖岩だという今日の説明があったが、9年前は「人造石」という説明だった。この間にいろんな調査で分かったことがあったのかどうか教えてほしいとの質問に、黒い部分や「平和の礎」などの岩石の組織を詳しく調べ直してみると「人造石」ではなく、自然界の岩石だという判断に至ったとの説明を受け、ガッテン!でした。



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帰り道で、今回触れられなかった「栃木の塔」の岩をAさんと判定してみました。

岩を作る粒は結晶ではなく、すべて角が丸くなっているので、マグマ由来の火成岩ではない!変成岩のような褶曲模様や再結晶している様子も見られないので、土砂が積もってできた堆積岩(たいせきがん)である。粒が細かい泥や粒の荒い小石でもないので、砂粒でできた砂岩だろう!という結論になりました。




いろいろと石のことが学べて楽しい観察会になりました。



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Aさんといっしょに公園内の東屋でローソンの美味しいおにぎりを食べた後、韓国人慰霊塔を訪問し、とても立派な結晶片岩を見学し、



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丘の上に立つ白く立派な「沖縄平和祈念堂」の裏手にある「美ら蝶園」を訪ねました。



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優雅に飛び交うオオゴマダラの成蝶の姿に平和な時の流れを感じ、しばらく見惚れてしまい、



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しきりに体を葉の裏に回して産卵をする様子も楽しむことができました。



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そんなこんなでいろんなことを楽しめた一日でした。

みなさん、お疲れさまでした。





by nami-5963 | 2019-11-10 08:01 | 沖縄の不思議 | Comments(0)